Haru Project 合同会社のブログ

WEBコンサル/WEB広告運用/アクセス解析

【Googleアナリティクス設定】内製化するのはそう簡単じゃない

少し前の話です。

 

よくして頂いているクライアントから、

Googleアナリティクスの研修を行いたいと話をもらいました。

 

その会社ではHTML,CSS周りをいじれるコーダーが3〜4人いる上に、

サイトを7個くらい保有しているので、

Googleアナリティクス周りの設定をいちいち弊社に発注しなくても、

社内でなんとかしようと考えたのでしょう。

 

弊社は基本的になんでもやってみましょうというスタンスなので、

2つ返事で研修を行ってみることにしました。

 

 

ところが、これが大失敗でした。

 

 

まず第1に、研修を受けるだけでGoogleアナリティクスの設定が完璧にできるかというと、そうでもないということがわかりました。

 

これは後から分かったのですが、

「設定が完璧にできるようになる」ことをKPIにすると、

個別に設定したものを隅々まで添削する必要があります。

それこそ、個々の理解度に合わせたパーソナルトレーニングみたいな形になるので、

コーダーが4人いれば工数も×4人分になります。

 

一般的に研修というのは、1回で完璧に身に付けるところまでは目標にしていません。

概要をざっと押さえてなんとなくこんなもんか、と頭に入れておくためのものです。

「体得する」というのは別問題というのが一般的な研修ですが、

ここを捉え違えていました。

これが1つ目の失敗。

 

 

第2に、サイト構造によって簡単に設定できない部分があるという事

 

例えばよくあるフォーム形式ですと、

「サンクスページ」というものが問合せ完了時に出てきます。

問合せフォーム→確認ページ→サンクスページ

とURLが変わる形式であれば、Googleアナリティクスで目標にサンクスページURLを仕込むだけで簡単に設定ができます。

 

しかし、上記のような形式でない場合、

例えば問い合わせフォームでサンクスページが表示されず、

送信ボタンを押したらそれで終わりの場合などは、

送信ボタンを押すというアクションを目標到達ポイントに設定する必要があります。

そうするとサイト内部を若干いじることになるので、

簡単に設定できないのです。

上の事例の会社さんは、サイトごとにフォームの作り自体も違っていたため意外と難しいポイントが増えてしまいました。

 

 

第3に、意外とGoogleアナリティクスの設定にはビジネスに対する理解が必要でした。

マニュアル通り項目を設定して行っても、

「そもそも自社のマーケティングをしていく上で見ておきたい項目はここ」

ということがわからない人間が設定しても、

なんとなく上っ面になってしまうのです。

流入やPVが見れるようになったからといって、だからなんだ、

男女比率や年齢層が見れるようになったからといってだから何だ、

という感覚がどうしても拭い切れませんでした。

 

これは私がWEBコンサルタントだから感じるのかもしれませんが、

「初めに目的を持たずしてなんとなく計測ができるようになっても、そこにはWEBマーケの命が吹き込まれない」といった感覚を覚えてしまいました。

 

 

 

 

第4に設定ミスした場合に大きくロスが起こるという事態が起きました。

この時は、研修中に社員様に設定をしてみて頂いたのですが、

研修後しばらくして、

GoogleアナリティクスのPVが異常に多くなるという事態が起きました。

原因をあれこれ調べた結果、タグ設置ミスで何重もPVが計測されていることがわかりました。

そのため原因調査〜改修に1〜2ヶ月程度かかり、

この会社ではその間WEBマーケに関することはまるで出来ず、

費用も自腹を切る事態になったためとんだ災難でした。

 

例えば制作からアナリティクス設定まで全て弊社で完結していれば、

この辺りの対応は非常に早くなるのですが、

複数の関係者がいる場合はそうもいきません。

 

PV増加が判明

調査(設定した方,制作会社全員にヒアリングその他)

多重計測と判明

全サイトのタグの挿入状況を確認

制作会社に依頼

スクレイピング

制作会社に依頼⇄目視で全ページ確認
※ここを7往復ほど

設定し直し

 

こんな感じで非常に時間がかかりました。

 

内製化をすると、社内に入りたての新人や

詳しくない方が設定をすることも想定されます。

そうするとこういった事態は頻繁に引き起こされるという予想をしたため、

この時は率直に「辞めたほうがいいです」という見解を、

依頼を受けた会社に伝えました。

 

Googleアナリティクスの設定を内製化することで、

Googleアナリティクスの計測が狂い、

日々取っているはずのデータが不確証なものになるのであれば、

それは本末転倒だからです。

 

 

 

と、こんな感じの失敗がありました。

正直これで結構な損失を出したので苦い思い出ではありますが、

内製化を考えている会社に対しては1つ有効な知見を提供する経験が出来たと考えています。

 

そもそもWEBの世界は分業化が非常に進んでいるため、

複数の領域を行ったり来たりできる人材は非常に稀なのです。

 

Googleアナリティクス設定で言えば、

Googleアナリティクスそのものの知識にプラスし、

WEBマーケティング全体の知識、広告の知識、Googleタグマネージャーの知識、

簡単なコーディングの知識なんかも必要になってきます。

こういう複数領域の知識を持つ人間は、大体専門会社にいるか会社員に留まる必要がないので独立してしまうのが実情です。

 

この辺りをサッとできる人材を育てるくらいだったら、

わかる人間に依頼した方が時間を有効利用することができるはず、

というのが弊社の見解です。

 

これが広告,ブログ,動画とかですと、

クリエイティブの質の問題が出てくるので内製化した方が

良いものができる可能性もあるのですが。

ことGoogleアナリティクスに関しては外注した方がよさそうです。